01V96i で、ハウリングしている周波数だけを EQ で削る
マイク入力チャンネルの 4 バンド EQ を使い、「キーン」「ボー」と鳴る周波数を狭く・少しだけ下げる手順です。初めての人向けに 1 操作ずつ書いています。
EQ は最後の一手です。 先に「マイクをスピーカーの正面に向けない」「マイクとスピーカーの距離をとる」「話す人がマイクに近づく」「使っていないマイクのフェーダーを下げる」を試してください。これだけで止まることがよくあります。
全体の流れ
用意するもの
- スマホの周波数アナライザー(スペクトラムアナライザー)アプリ。鳴っている音の周波数を「Hz」の数字で表示するもの(無料のもので十分)。
- マイクを持ってくれる人(いなければスタンドに立てる)。
- メモ用紙。見つけた周波数と、削った量を書き留めます。
操作する場所(本体のどこを触るか)
配置は模式図です。実機の位置とは異なります。名前の書かれたボタンとつまみを探してください。
手順
音量を安全なところまで下げる
スピーカーの音量(STEREO のフェーダー、またはアンプ)を、普段より少し下げた状態から始めます。ハウリングは急に大きくなるので、いつでもすぐ下げられるように片手をフェーダーに置いておくのが基本です。
ハウリングするマイクのチャンネルを選ぶ
そのマイクがつながっているチャンネルの SEL キーを押します。17ch 以降などフェーダーに見えていないチャンネルは、先に LAYER キーで表示する列(レイヤー)を切り替えます。キーが点灯し、画面の左上あたりにそのチャンネル名が出れば選択できています。
✓ 画面にマイクのチャンネル番号(例: CH 1)が出ている
EQ の画面を開き、EQ が ON か確かめる
画面横の表示切替ボタン群(DISPLAY ACCESS)にある EQ を押し、続けて F1 を押すと「EQ | EQ Edit」画面が出ます(EQ のつまみを回しても自動でこの画面になります)。画面左上の EQ の ON/OFF ボタンが ON になっていることを確認します。OFF なら、カーソルキーでそのボタンを選び ENTER で ON にします(OFF のままだと、この後いくら回しても音が変わりません)。
✓ 画面に「EQ | EQ Edit」と 4 バンドのグラフが出ていて、EQ が ON
(声用のマイクなら)いらない低音を先に切る
LOW を押して低音のバンドを選び、Q を左に回し切ると、このバンドが「ロー・カット(HPF)」になります(右に回し切ると「L.SHELF」=低音をなだらかに下げる形)。FREQUENCY を 80〜100Hz くらいにします。HPF のときは GAIN が「ON/OFF」の切り替えになるので、ON になっていることを画面で確認します。声には必要ない「ボー」という低音が減り、低いハウリングが起きにくくなります。
楽器(バスドラム、ベース等)のマイクではこの手順は飛ばします。
ハウリングしている周波数を見つける
スマホのアナライザーアプリを起動して、マイクの近くに置きます。マイクのフェーダー(またはスピーカーの音量)をゆっくり上げ、「キーン」「ホワーン」と鳴り始めたらすぐに少し戻します。鳴った瞬間にアプリで一番高く飛び出した山の数字(例: 2,500Hz)を読み、メモします。
アプリの代わりに、このページ専用の ハウリング周波数ファインダー も使えます(iPhone の Safari で動作。「開始」を押してマイクを許可すると、ハウリングらしい音を自動で記録し、使うバンドも表示します)。
アプリが無い場合の目安は下の「よく鳴る周波数の目安」の表を参照。ただし当てずっぽうで削ると声が痩せるので、できるだけ実測してください。
周波数に合うバンドを選ぶ
見つけた周波数に近いバンドのボタンを押します。目安: 500Hz 以下は LOW-MID、500Hz〜10kHz は HIGH-MID。2本目を削るときは、空いているもう一方を使います(HIGH も Q を絞れば使えます)。
Q を「狭く」する
画面の Q の数値を見ながら Q を回し、4〜8 くらいにします(設定できる範囲は 0.10〜10)。Q は「どれだけ狭い範囲を触るか」です。数字が大きいほど狭く、ハウリングの音だけをピンポイントで削れます(下の図)。回し切ると形が変わる(シェルフ・カット)ので、端まで回さないでください。
周波数を合わせて、少しだけ下げる
FREQUENCY を回して、メモした数値(例: 2.50kHz)に合わせます。次に GAIN を左に回して −3dB にします。まだ鳴るなら −6dB、それでも鳴るなら −9dB まで。−12dB より深く削るのはやめます(声質が変わるうえ、すぐ隣の周波数が鳴り始めるだけのことが多いです)。
✓ 画面のカーブに、細く下向きの谷が 1 本できている
確かめる(必要なら 2 本目)
手順 5 と同じように音量をゆっくり上げ、さっきより上まで上げられるか確かめます。別の周波数で鳴り始めたら、それが 2 本目です。手順 6〜8 を、空いている別のバンドで繰り返します。削るのは 2〜3 本までが目安。それ以上鳴る場合は、EQ ではなく音量・位置の限界です。
シーンに保存する
うまくいったら、シーンの STORE キーで現在の状態を保存します。保存しないと、別のシーンを呼び出したときに設定が戻ってしまいます。今使っているシーン番号に上書きするか、新しい番号に保存するかは、普段の運用ルールに合わせてください。
図で見る: 「狭く・少し」削る理由
横軸は周波数(右ほど高い音)、縦軸は上げ下げの量。カーブの形は説明用の模式です。
よく鳴る周波数の目安
| 聞こえ方 | 周波数の目安 | 使うバンド |
|---|---|---|
| 「ボー」「ブーン」と低くうなる | 125〜400Hz | LOW-MID(または手順4の低域カット) |
| 「ホワーン」「オーン」と中くらいの高さ | 500Hz〜1.5kHz | LOW-MID または HIGH-MID |
| 「キーン」「ピー」と耳に刺さる | 2〜5kHz | HIGH-MID |
| 「チー」「シー」と金属的に高い | 6〜10kHz | HIGH-MID または HIGH |
あくまで目安です。部屋とマイク・スピーカーの組み合わせで変わるので、実測(手順5)を優先してください。
うまくいかないとき
| 症状 | 確認すること |
|---|---|
| つまみを回しても音が変わらない | EQ が OFF になっていないか(手順3)。SEL で違うチャンネルを選んでいないか。 |
| 削ったのに同じ所でまた鳴る | FREQUENCY の数値がずれていないか。Q が広すぎて浅くなっていないか。−9dB まで下げたか。 |
| 削るたびに別の周波数が鳴る | 音量そのものが限界に近い合図。マイクの位置・向き、スピーカーの向き、話者とマイクの距離を見直す。 |
| モニタースピーカー(返し)だけで鳴る | 入力 EQ はメインにも効くので、返しの系統(AUX 出力)側で対処するほうが向いている場合があります。この場合は運用担当に相談を。 |
| 声がこもった・細くなった | 削りすぎ。各バンドの GAIN を −3dB ずつ戻し、Q を狭くし直す。 |
覚えておくこと: この EQ はマイクのチャンネルにかかるので、そのマイクの音が出ている全ての場所(メインスピーカー・返し・録音)に効きます。削るのは「狭く・少し・2〜3 本まで」。